内藤忠行 プロフィール
1941年、東京浅草生まれ。ジャズと出会いそのフィーリングとバイブレーションを映像化すべく写真家を志す。マイルス・デイヴィスなどオリジナルなスタイルを創造した天才ミュージシャンから学んだ表現方法を写真に応用し、精力的にコンサートライブを撮り続け、多数のレコードジャケットを手がける。本場のジャズシーンに接するうち、そのルーツであるアフリカへと導かれ、この大いなる大地への愛と理解と感動を【アフリカの歌】などの作品集にて発表。アフリカへの旅を重ね、シマウマのモチーフを繊細かつ大胆に表現した【ZEBRA】においては、ストレートなカラー写真から、コラージュやソラリゼーション、多重画面などを駆使したシンメトリーな抽象表現までを自在に用い、「スピリチュアル」「モダン」「プリミティブ」の融合という、彼の写真に一貫して流れる特徴を確立させる。赤道直下の国々やアラスカ、ヒマラヤ周辺など異なる文化圏へ世界規模に取材し、観察と空想とジャズ的写真の冒険を繰り返すことにより生まれた膨大な作品群は、写真集、雑誌での発表にとどめることなく、映像、造形、テキスタイルなど多様に展開させていった。
その後、そうした体験と眼差しに対比させるかのように自らのアイデンティティを追及。日本の美の象徴とも言うべき〈桜〉、〈庭〉というテーマに斬新に取り組む。アニミズムや曼荼羅と、日本人としての自然観と装飾性を結びつけた幻想的な桜の世界は、着物を連想させる「T字型12面シンメトリー」の無限の奥行きの中に、上品で雅でありながらも妖艶な魔性を潜ませた【SAKURA-COSM】に結実する。四季折々の自然と感応し美を表出させる〈庭〉では、日本人の美的DNAの潜在を表現し、ADC賞を受賞したCD-ROM【京の庭】をはじめ高い評価を得る。
静寂な庭に宇宙のリズムを感じ、それをフィルムに写し撮っていく過程で本能的に出会った、〈蓮〉という被写体を21世紀のスピリチュアルなキーワードとし、実存しない青い蓮の世界に「愛と平和」への祈りを込め発表した「Blue Lotus」シリーズは、その美しく幻想的な蒼い光に見る者を包み込むことにより、時空を越えた生命の普遍的なメッセージを発信することに成功している。
新たな表現への欲求は留まることなく、「視覚と聴覚の相乗」をコンセプトにしたフォト・ユニット「PM-X」を主宰、様々なアーティストとのコラボレーションを意欲的に行っている。
2005年、スワミナサン財団(「緑の革命の父」と謳われるスワミナサン博士が、貧困・飢餓を根本的に解決するため設立した財団)によるプロジェクトの一環、「モダン・マスターズ・オブ・フォトグラフィー/ジャパン」の12人の写真家の一人に選出され、その草の根的支援活動に賛同し「Blue Lotus」を寄贈。
Modern Masters of Photography : Japan
https://asiainitiatives.org/art-for-goodmmop/mmop/
M. S. Swaminathan Research Foundation (MSSRF)
http://www.mssrf.org/
出版物一覧
年 | 作品 |
---|---|
1970年 | 写真集「日野皓正の世界」サンケイ新聞出版局 |
1977年 | 写真集「NABESAN」泰流社 |
1980年 | 写真集「アフリカの旅」自主 |
1981年 | 写真集「地球風俗曼陀羅」神戸新聞事業社 “毎日デザイン賞受賞” レコード制作「MASAILAND」「DRY&WET」「NIGHT TRIP」 |
1982年 | 写真集「アフリカの歌」晶文社 |
1985年 | レコード・CD制作「TIMELESS」ソニー レコード・CD制作「ZEBRA」MGA |
1988年 | 写真集「ZEBRA」情報センター出版局 |
1990年 | 写真集「SAKURA-COSM」扶桑社 |
1992年 | 写真集「わが心のアフリカ」ライアル・ワトソン共著 筑摩書店 |
1993年 | ビデオ「脳の縞」Photohouse OM |
1996年 | CD-ROM「ZEBRA FANTASY」ハートランド |
1997年 | ハイビジョン監督「The SONG OF AFRICA」ソニー |
1998年 | CD-ROM「京の庭」デジタローグ “ニューヨークADC銀賞受賞” 写真集「宇宙のかたち 日本の庭」世界文化社 |
2000年 | CD-ROM「マンダラ・コスモロジー」デジタローグ “ニューヨークADC銀賞受賞” |
2001年 | デジタルビデオ作品「ZEBRA」RESFEST2001 デジタル・フィルム・フェスティバル出展 |
2003年 | 写真集「色はことのは」末永蒼生共著 幻冬舎 |
2005年 | 写真集「BLUE LOTUS」 評言社 |